パレオ協会ニュースレター「長鎖不飽和脂肪酸(PUFA)のタンパク質分
こんにちは。
パレオ事務局の菅原です。
インフルエンザも花粉症も流行る時期、
街の中にはマスク姿が多く目につくようになりました。
パレオ食事法を学び実践していらっしゃるみなさんは
いかがでしょうか?
食事による体質改善が進んでいる方は
根本的な風邪やアレルギーの原因では外側にはないことも理解が進み
マスクのいらない体になっているのはないでしょうか?
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■パレオ協会ニュースレター「長鎖不飽和脂肪酸(PUFA)のタンパク質分解酵素ブロックについて」
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こんにちは。
崎谷です。
会員さまから長鎖不飽和脂肪酸(PUFA)のタンパク質分解酵素ブロックについてご質問を受けましたので、シェアしたいと思います。
植物油脂、魚油などの長鎖不飽和脂肪酸(PUFA)が持つタンパク質分解酵素ブロック作用は、ガン、動脈硬化などの慢性病に深く関わっている問題です。
(ご質問)
「「脂質のクラス1」のテキストを復習していて
テキスト11ページ「シードオイルはタンパク質分解酵素をブロックする」についてです。リサーチをかけても、タネそのもの(特にオイルリッチなもの)や子葉にプロテアーゼやトリプシンのインヒビターが存在している事は出てくるのですが、オイルにそれが含まれているという論文ソースなどは見つかりません。
先生がソースとして記載している「Prolyl endopeptidase inhibitory activity of unsaturated fatty acids.」https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16478242
の要約を読みましたが、以下のような見解であっているでしょうか?
1 アルツハイマー患者脳を解剖するとPEP(蛋白質分解酵素)が非常に多く発見される。
2 不飽和脂肪酸はPEP inhibitor(タンパク質分解酵素をブロック)として働く
3 オレイン酸(オメガ9)はPEPブロックを抑制する
(つまり一価の不飽和脂肪酸にはタンパク質分解酵素をブロックする役割はないor少ない)
4 よって、PUFAにはタンパク質分解酵素ブロック作用があると考える
5 アルツハイマー患者の脳にPEPが多いのは、βアミロイドという異常タンパクが溜まっていて、体はそれを分解処理したいから
(糖尿病患者の血中にインスリンが多いのと同じ感覚で良いでしょうか?)」
(回答)
まず長鎖不飽和脂肪酸のタンパク質分解酵素の働きをブロックする作用がなぜ危険なのかを簡単に説明いたします。
タンパク質分解酵素(protease:プロティース、プロティエイス)は、古くなって錆びついたタンパク質や異常なタンパク質を分解する作用を持ちますが、それによってまた新しいタンパク質を作る材料を提供してくれます。つまり、タンパク質の新陳代謝にはタンパク質分解酵素(protease:プロティース、プロティエイス)は欠かせない存在です。
異常なタンパク質が脳に蓄積する病態に今回のアルツハイマーやパーキンソン病があります。
また、脳梗塞・心筋梗塞などでは重要な血管が血餅(けっぺい:血液の餅。血液とタンパク質の凝固物)で詰まってしまうことが原因です。
この血餅を溶かすのもタンパク質分解酵素(protease)の働きです。
もちろん、消化管の中でタンパク質分解酵素(protease:プロティース、プロティエイス)が働かないと食事中のタンパク質も分解・吸収されません(リーキーガットがあるとこれが抗原となって炎症を引き起こす可能性がある)。
さて、この論文では、死亡したアルツハイマー患者脳を解剖するとPEP(蛋白質分解酵素)が非常に多く発見されることから、この酵素が脳の機能障害の原因になっているのではないかと推測しています。
そしてこの酵素をブロックする物質を探すために、今回、不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、フィッシュオイル(EPA)、DHA)を用いてその効果を調べています。
その結果は、すべての不飽和脂肪酸でこのPEPという蛋白質分解酵素をブロックしましたが、その効果はオレイン酸(オリーヴオイル)で一番強かったという内容です。
まずはPEPという蛋白質分解酵素について。
これは主に脳下垂体から放出されるホルモン(タンパク質)を形成または分解する酵素です。「ホルモンの真実1」セミナーで詳しく説明いたしましたが、脳下垂体から放出されるホルモン(ACTH,プロラクチン、成長ホルモン、オキシトシンなど)はすべてストレスホルモンかつ炎症を加速させる物質です。
アルツハイマーではストレスが脳にかかっていますから、これらのホルモン濃度が高くなっているはずです。したがって、これらのストレスホルモンを作ったり、分解したりするための酵素(PEP)の値も高くなります。
したがって、この研究者が推測しているような酵素(PEP)そのものがアルツハイマーを引き起こしていると考えるのは、まったくの見当違い、誤認です(研究論文のほとんどは誤認です)。
そして何よりもこの研究でおかしいと感じたのは、オレイン酸が一番タンパク質分解酵素をブロックする作用が強いという結果です。
タンパク質分解酵素をブロックするのは、不飽和脂肪酸から形成される過酸化脂質(アクロレイン、MDAなど)です。これらの過酸化脂質が私たちの体内のタンパク質に結合するとタンパク質分解酵素では分解されないようになります。さらに、この過酸化脂質が結合したタンパク質は、タンパク質分解酵素の働きをブロックします(Mol Aspects Med. 2003;24:195–204)。
過酸化脂質ができやすい順は、
オレイン酸<リノール酸<アラキドン酸<EPA<DHA
炭素の二重結合が多い(不飽和度が高い)ほど、過酸化脂質は形成されやすい。
したがって、タンパク質分解酵素の働きをブロックする作用は過酸化脂質が形成されやすいものほど高くなるはずです(DHAがもっともタンパク質分解酵素の働きをブロックする)。
この研究の意図や結果は検証に耐えられないレベルですが、不飽和脂肪酸がタンパク質分解酵素をブロックするという事実だけは示せているとお考えください。
(追記)
現在、メディカルパレオプログラムに脂質・糖・タンパク質の真実などを取り扱ったビデオ収録を追加いたします。準備が整いましたら、あらためて皆様にご連絡差し上げます。
■本情報・記事の著作権は全て﨑谷医学博士(﨑谷研究所)および(社)パレオ協会に帰属します。許可なく複製及び転載などすることを固く禁じます。またこの文章は、パレオ協会会員さまのみにお送りいたしております。第三者に転送したり、Web サイトへアップするなどの再配信は固くお断りします。発覚した場合には、ニュースレター配信の送付を直ちに停止いたします。無断複製、転載及び配信は損害賠償、著作権法の罰則の対象となります。
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再び事務局の菅原です。
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