医薬品の副作用

医療過誤(医療ミス)による死亡は、米国では心臓疾患・ガンに次いで多い死因となっています(日本でははっきりしたデータがありません)。米国の有名な医学雑誌に掲載された論文(JAMA 284 (2000)483-485)では、年間22万5400人が医療ミスで死亡していると報告されています。

その医療ミスの中でも死に至る最大の原因が「医薬品の副作用」で、年間10万人に及ぶと報告されています。入院患者の約7%は、医薬品の副作用で死亡したり、重大な後遺症を残すことも報告されています(JAMA 279 (1998)1200-1205)。

さらに驚くことに、この数は医薬品の過量投与や誤薬(投薬の間違い)ではなく、通常の服用量で起こっている数なのです。

医薬品には必ず製薬会社が作成した投薬方法や副作用の情報が記載されている添付文書がついています。この中にあらかじめ分かっているその医薬品の副作用ではなく、「予期せぬ副作用」で死亡しているケースが大半を占めているのです。

特に慢性病を患っている人は、医薬品を多剤服用されています。その場合、薬剤間の相互作用はまったく分かっていません。実は2種類の医薬品の飲み合わせでなんらかの有害な反応を起こすものがわずかに報告・警告されているだけで、ほとんどの医薬品の飲み合わせによる相互作用がわたしたちの人体に及ぼす影響は分かっていないのです。

医薬品は一部の徐放剤を除き、即効性という特徴をもつ反面、副作用とよばれる人体にとって有害な反応がみとめられます。

ある臓器に対する主作用は、他の臓器に対する副作用である場合があります。また抗ガン剤、免疫抑制剤のように、ある目的で使用される医薬品は、目的以外では有害作用が強く出る医薬品があります。

医薬品は毒性物質であり、たしかに服用しないことに越したことはありません。しかし、急性の病態では医薬品が非常に有効な場合があります。慢性病の場合でも、リスク(副作用)とベネフィット(効果)の兼ね合いで利益が上回ると判断された場合は、長期投与されます。

漢方薬やハーブのような生薬は、そのほとんどがある病態に対して効果があるという高いエビデンスが現在のところはありません。医薬品はかろうじてエビデンスがあるということですが、これも臨床試験の統計解析の問題、利益の相反問題(医薬品会社の研究資金提供)などがあり、一概には多くの医師が思っているほど絶対的なものではありません。

特に新薬と呼ばれる医薬品には慎重に対応したほうがよいです。それは長期的な副作用のデータが十分蓄積していないからです。効果がある新薬と喧伝されて市場に拡がったのちに、重篤な副作用があきらかになって回収される医薬品も少なくありません。

したがって医薬品を服用する場合は、

  1. 主作用とその裏返しである副作用をしっかりと理解する
  2. 個々のケースでリスク(副作用)とベネフィット(効果)の兼ね合いを短期と長期に分けて慎重に考えて服用を決定する

ことが肝要です。しかし、日常医薬品に携わっている医師でもすべての医薬品の作用を詳細に把握しているわけではありません。一般の方にはなおさら難しいことだと思います。



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