膠原病の治療

現代医療の一般的治療法

医薬品による薬物療法が中心です。

*薬物療法
  1. ステロイド
  2. 免疫抑制剤
    メソトレキセート、アザチオプリン、シクロスポリン、シクロフォスファミドなど
  3. ガンマグロブリン大量投与
  4. 抗サイトカイン治療

現代医療では、膠原病の原因が全く分からないためにステロイドや免疫抑制剤がむやみに使用されています。これらの薬は強力な副作用があり、患者自身で勝手に判断して服薬を減らしたり、中止したりすることはできません。

*血漿交換(アフェレーシス)療法
*リハビリ療法

最近、積極的にリハビリすることが奨励されていますが、膠原病の方には慢性期であっても激しい運動は禁忌です。

膠原病治療戦略Ⅰ

膠原病継続治療

  1. コラーゲン溶解酵素(プロテアーゼ:MMP)やTNFといった炎症性サイトカインを阻害して、早期に病巣を閉じ込める(コラーゲン溶解ブロック療法)。→ 症状・病状の進行を早期に抑える
  2. 膠原病のもととなる生活習慣を改善する。→ 炎症の原因を排除
  3. 自己治癒力にスイッチを入れる→細胞内ミトコンドリアの機能正常化、体内ファイトケミカルの誘導

慢性炎症の拡大を抑え、生活習慣を改善しながら自己治癒力を向上させていくことが崎谷研究所の自然治療方針です。

この自然治療でリウマチ・膠原病を代表とする慢性炎症疾患の免疫系の混乱を抑え、長期的に自然治癒に向かわせます。

膠原病急性期治療

ステロイドを中心とした免疫抑制剤を併用しながら膠原病継続治療を行います。
また免疫抑制剤の副作用を最小限に抑えるための治療も併せて行います。

膠原病治療戦略II

時間をかけて自己治癒を導く

リウマチ・膠原病・自己免疫疾患の治療で大切な視点として、「時間」という要素があります。

リウマチ・膠原病を含め多くの病気と呼ばれるものは、突然発症するものでなく、長い経過をたどって表面化してきます。リウマチ・膠原病・自己免疫疾患は慢性炎症という長い経過をたどります。インフルエンザなどの感染であれば、急性に発症しますが、通常は1週間程度で何も治療しなくても治ります。

リウマチ・膠原病はインフルエンザのような単純なウイルス感染だけではない、複合的原因が折り重なった慢性炎症です。したがって、基本的にすぐに治るものではありません。今後、いくら医学の世界で特効薬ができたとしても、すぐに治すものは出てこないでしょう。

これは、ガンを考えれば分かりやすいでしょう。ガン細胞自体を壊滅状態に追い込むには、細胞毒を与えることで簡単に行えます。しかし、強い細胞毒を使うほど、こんどは私たちの健康な細胞がやられてしまい、最終的には死期を早めてしまいます。細胞毒を排除するために、細胞ごと死滅する作戦をとるのです。

○作用が強い医薬品→細胞毒が強い→健康な細胞、免疫系が壊滅する→合併症で死期を早める

という図式ですね。これを生体の「緩衝能(作用ー反作用の法則)」といいます。

私たちの体に何かが作用すると、必ず体がそれに対して同じだけの反応を示すという単純な法則です。次にリウマチ・膠原病・自己免疫疾患で考えてみましょう。

過剰な自己免疫を抑えるには、ステロイド、免疫抑制剤、抗がん剤、生物学的製剤が有効です。

○ステロイド、免疫抑制剤、抗がん剤、生物学的製剤→全身の免疫抑制→炎症鎮火→健康な細胞の感染→感染症で死期を早める

これも同じ図式です。

結論は、

「時間をかけて発症した膠原病は、時間をかけて元に戻していくこと」です。急いで作用の強い免疫抑制剤を使用すると、作用―反作用の法則で体がかならず、強い副作用を出します。免疫抑制剤薬に関らず副作用の強い医薬品の使用法はあくまで、急性に悪化したときで他に手段がない場合や命に関わる重篤なケースにのみ、短期間に限って使用することが基本です。 長期間免疫抑制剤が必要な場合は、副作用を軽減しながら少量投与で膠原病治療が継続できる次善策をとります。

短期的膠原病治療(対処療法)と長期的膠原病治療(自然療法)の使い分け

私たち現代人は弱い存在で、体に不具合が出ると即効性の治療を希求します。

このような人間の特性によって、必要悪として存在するものが西洋医学の「対処療法」です。

対処療法とは、

  1. とりあえず、今の症状を抑えましょう。
  2. その後は知りません・・・・・・
  3. もちろん長期的影響は考えません

という治療です。しかし、対処療法は現在の膠原病患者さんの臓器の慢性炎症症状を一時的に軽減してくれるために非常に有意義でもあります。

リウマチ・膠原病・自己免疫疾患で行わる主な治療も残念ながら大きくはこの「対処療法」に分類されるものです。

ここで冒頭の「時間」という観点で見てみましょう。今、一時的に対処療法で症状を深いところに押し込んで、見かけ上見えなくしてしまうことは簡単です。しかし、表面上から見えない深いところに押し込んだはずの「症状」は、確実に利子をつけて、最終的には対処できないようなモンスターとなって、やがてあなたの前に立ちはだかってきます。

症状を即時に抑え込むことはある程度必要なことですが、それを押し込んだままにしていると「副作用」というしっぺ返しが必ずきます。私たちはただ即効性を求めるのではなく、逆に「時間」を利用して、ゆっくり自己治癒を導くべきです。

治療によって長期的に起こる変化を考えて現在の治療を決定することが自分の体にとってどれだけ大切かはいくら強調してもしすぎることはありません。

リウマチ・膠原病・自己免疫疾患は、すぐに退治するものではなく、ゆっくりと元に戻していく過程で自己治癒していく慢性炎症疾患なのです。

慢性炎症が悪化した場合は、対処療法による短期治療が必要です。急性の炎症が治まれば、長期治療(生活習慣改善を中心とした自然治療)に切り替えましょう。

  1. 症状が強く、生活に多大な支障が出ているときは対処療法で痛みを軽減する。
  2. 急性な炎症症状が起こってきた場合、免疫抑制剤を使用しながら自然治療を併用する。
  3. 免疫抑制剤の副作用が重篤でない場合は、免疫抑制剤を継続しながら自然治療を併用する(可能ならば徐々に減量していく)。
  4. 免疫抑制剤の副作用が重篤な場合、自然治療に切り替える。
  5. いずれにせよ最終的には免疫抑制剤を減量、可能であれば中止し、長期的な自然治療へ切り替える。

膠原病の治療戦略IV

時間を味方にする

「人間は目先のことにしか注意がいかない。」

朝三暮四といってサルを笑っておられるほど私たち人間は賢くありません。いざ自分のこととなると人間ほど目先のことにしか注意がいかなくなる動物はいないのかも知れません。

このような人間の特性によって、必要悪として存在するものが西洋医学の「対処療法」です。

対処療法とは、

1.とりあえず、今の症状を抑えましょう。

2.その後は知りません・・・・・・

3.もちろん長期的影響は考えません

という治療です。

リウマチ・膠原病で行わる主な治療も残念ながら大きくはこの「対処療法」に分類されるものです。

ここで冒頭の「時間」という観点で見てみましょう。今、一時的に症状を深いところに押し込んで、見かけ上見えなくしてしまうことは簡単です。しかし、表面上から見えない深いところに押し込んだはずの「症状」は、確実に利子をつけて、最終的には対処できないようなモンスターとなって、やがてあなたの前に立ちはだかってきます。

症状を即時に抑え込むことはある程度必要なことですが、それを押し込んだままにしていると「副作用」というしっぺ返しが必ずきます。私たちは即効性を求めるのではなく、逆に「時間」を利用して、ゆっくり自己治癒を導くべきです。

治療によって長期的に起こる変化を考えて現在の治療を決定することが自分の体にとってどれだけ大切かはいくら強調しても強調しすぎることはありません。

リウマチ・膠原病は、すぐに退治するものではなく、ゆっくりと元に戻していく過程で自己治癒していく病気なのです。

これからの生物製剤に求められるものは?

近年、関節リウマチの治療に生物学的製剤といわれる抗TNF製剤を含む抗リウマチ薬(DMARDs)が当たり前に用いられるようになっています。

2008年の欧州リウマチ学会(EULAR)で「抗TNF製剤を超えて:新規生物製剤」と題した発表がありました。現在の生物学的製剤の問題点として以下が指摘されています。

  • 抗TNF療法で効果がみられない患者が全体の30%程度存在する。
  • 治療開始時には高い効果を発揮していた抗TNF療法も、長期間使うと効果が薄れてくる。
  • 1剤目の抗TNF療法で効果が減弱し、別の抗TNF療法に切り替えた場合、その後、効果が弱まる。「3次的な効果減弱」(tertiary loss of response)
  • 生物薬剤の価格が高く、誰もが簡単に使えない。

TNF受容体はTNFと結合すると3量体を形成し、下流にシグナルを伝える。理論的には、そのシグナルを止められれば、関節リウマチ、SLE、強皮症などの膠原病、自己免疫疾患の治療につながることになります。

それを狙って作られた抗TNF受容体抗体は、TNF受容体と結合して、シグナル伝達を止めるはずが、TNFと同じ働きをして、逆にシグナル伝達を誘発してしまいます。

過剰な免疫を抑えるが、もともと宿主に備わっている免疫機構は叩かないような作用機序を持つ薬剤、例えば、TNF受容体2型(TNFR2)を狙った生物製剤などが想定されています。

現代医療の標準治療

現代医療の標準治療です。参考にされてください。

SLE(全身性エリテマトーデス)

◆◆ステロイド療法(経口)◆◆
軽症   プレドニゾロン 20mg以下
中等症  プレドニゾロン 30~40mg以下
重症   プレドニゾロン 50~60mg以下
◆◆ステロイドパルス療法(点滴)◆◆
メチルプレドニゾロン 1g 3日間
(その後、プレドニゾロン 50~60mgの内服維持療法)
◆◆免疫抑制剤(内服、点滴)◆◆
シクロフォスファミド、シクロスポリン、アザチオプリンなど
◆◆生物学的製剤(内服、点滴)◆◆
リツキシマブ(抗CD20抗体)(商品名:リッキサン)
インフリキシマブ(商品名:レミケード)
アバタセプト(商品名:オレンシア)など

膠原病治療一般についての考え方

現代医療は現在の時点では、代替医療とは違い、多くの臨床試験の結果に基づいた膠原病治療を提供しています。しかし、それでも万能とは程遠いということを理解していただく必要はございます。

岩田健太朗医師の著作『感染症は実在しない』という啓蒙書から一部抜粋して、現代医療の治療の柱といえる医薬品(「コレステロール」降下剤)を例に とって話を進めましょう。

病院では高血圧の薬と同等もっとも処方される医薬品「コレステロール」降下剤。

「本当にコレステロールを下げる必要があるのか?」ということから治療の本質を考えていきましょう。

まず大半の循環器や脳神経内科の医師の処方を見ていると、コレステロール値が少しでも高い人には「コレステロール」降下剤を出しています。

実はコレステロールが高いと本当に心筋梗塞・脳卒中などにかかってしまうのかという問題は解決されていません。

特に女性ではコレステロール値を医薬品で下げても、将来の心筋梗塞・脳卒中を予防できるという事実は現在も証明されていないのです。コレステロール値と血管の病変には見かけ上、見られているような因果関係がないという結論も出ています。

新しいコレステロール降下剤にスタチン(商品名:リピトール)という薬があります。この薬では軽度の高血糖(2型糖尿病)に対して投与すると、心筋 梗塞・脳卒中が減少する結果が発表されました。このコレステロール降下剤によって、35人治療して1人が恩恵を受けるものですが、医学的にはかなりの効果がある結果なのです。

しかし、ふつうに考えると、服薬する人は100%を信じて服薬しているわけですから、最低でも服用したら全体の80%くらいは効果があってほしいですよね。医学的に効果があると胸をはるスタチンでさえ、将来の心筋梗塞・脳卒中を予防する効果は、服用した全体のわずか0.03%にも満たないものです。

スタチンには頻度は低いとされていますが肝臓や筋肉に重篤な副作用があります。横紋筋融解症が起こった場合、早急に治療しないと命にかかわります。

さて、みなさまはこのコレステロール降下剤を服用されるでしょうか?

医薬品の服用に正解・不正解は実は存在しません。ここは皆さまの価値観によるのですね。

将来の不安を下げたいために確率が低くても副作用に目をつぶるか、それとも拒否するか。それはひとそれぞれの価値観なのです。

糖尿病や心筋梗塞などの病気を持っていない健康人であれば、むしろコレステロール値が高い人の方が長生きするというデータはあります。こういった人 が検診で「高コレステロール血症」と病名をつけられた場合、医師はやはり「コレステロール降下剤」と投与する方が大半です。

これを「高コレステロール血症」という病名をつけて、医薬品を処方することにどれだけの意味があるのかを真剣に考える医師はどのくらい存在している のでしょうか?

医学論文でコレステロール、高血圧などの一般的な危険因子といわれるものは、極端な異常でない限り、私たちは痛くも、痒くもありません。血糖値も少し高いくらいだと何も感じませんよね。血液検査などではじめて分かります。

これに強制的に病名をつけて、半ば強制的に医薬品を出すことは不公平です。医薬品を服用するかどうかは患者さん側の判断ですので、医師は少なくとも 自分が分かっているだけの情報開示を行うべきではないでしょうか?

リウマチの治療薬にメトトレキセート(商品名:リウマトレックス)があります。この医薬品は炎症反応を抑える場合がありますが、実は骨の破壊を止めることはできないという臨床論文が発表されています。ですから新しい生物学的製剤が出現したのですね。しかし、実際の臨床では、たいていの医師が関節リウマチに対しては最初にメトトレキセートを出します。

日本は欧米に比べて、メトトレキセートの処方用量が少なく設定されていることがネックというリウマチ科の医師が多いですが、そもそも欧米の論文で骨の破壊は止められないと報告があるのです。

最近は、「リウマトレックス+生物学的製剤」が骨の破壊の進行を止めるという欧米の論文をもとに多剤併用が行われています。しかし、危険な副作用と隣り合わせで、それでも骨の破壊の進行が止まらない方が実在しています。この事実をしっかり説明していくことは医師や治療者の責務でしょう。

現代医療はつねに批判・再検討をされ続けていますので、これが正解ということは原理的に未来永劫ないでしょう。その証拠に現在ではたった10年前の治療さえもう行われない傾向にあります。

今わたしたちが行っている日常の医療行為もあと10年後には大幅に改変されているでしょう。100年後には昔の瀉血治療のように「トンデモ医療」に なっている可能性もあるのです。

ですから、本来医師の仕事は今分かっていることを情報提示し、あとは患者さんの意志を尊重することしかできないのです。

効果があるというエビデンスが今のところほとんど証明されていない代替医療についても同じです。代替医療もとんでもない理論で患者さんを煙に巻くのではなく、なるべく現実に沿って情報公開するべきです。

膠原病のような慢性炎症疾患に対してどのような治療を選択するのは、最終的には患者さん個人の自由です。

現段階では最も信頼に値する現代医療もかなりあいまいなものであることを踏まえたうえで、膠原病という慢性炎症疾患の治療方針を一緒に決定していただけることを切に願います。

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