◆パレオ協会ニュースレター◆ 『ワクチンとダニ咬傷』
ダニ咬傷の典型例にライム病(Lyme disease)があります。ライム病では、発熱、発疹などの急性症状から、慢性期にかけて脳神経系、筋骨格・関節系や消化器系などの多彩な症状を呈することが報告されています(Front Med (Lausanne). 2020; 7: 57)(J Glob Infect Dis. 2018 Jul-Sep; 10(3): 170–171)(Antibiotics (Basel). 2019 Dec; 8(4): 269.)。
関節炎、筋肉痛、頭痛、麻痺(顔面神経麻痺も含む)、けいれん、感覚異常、めまい、記憶障害、認知障害、全身疲労、髄膜炎症状、脳炎など多彩な症状を慢性期には呈します。
この多彩な症状は、ワクチンのアジュバントによる(「アジュバント誘発性自己免疫症候群(Autoimmune (Auto-inflammatory)Syndrome Induced by Adjuvants’ (ASIA))」と酷似しています。
さらに、ライム病の興味深い点は、これらの慢性症状は、一進一退する(wax and wane)したり、炎症部位が移動したりすることです。
慢性炎症が一進一退するのは、多発性硬化症と呼ばれる神経系の慢性炎症疾患の特徴とも言われているものです。
ライム病では、ダニに感染しているバクテリア(Borrelia burgdorferi sensu stricto (B. burgdorferi ss))がヒトの血液に移行して炎症を引き起こすとされています。
このバクテリアは、熱で死滅させてもエンドトキシンと同じような炎症を引き起こすことが分かっていました(Microbiologica. 1986 Apr;9(2):249-52)(Zentralbl Bakteriol Mikrobiol Hyg A. 1986 Dec;263(1-2):142-5)。つまり、細胞成分の何かが炎症のトリガーになっているということです。
その後の研究では、このバクテリアの細胞壁成分のリポタンパク質が炎症の原因であることが明らかにされています(Infect Immun. 1990 Apr; 58(4): 983–991)(J Clin Invest. 2000 Aug; 106(4):561-9)。このリポタンパク質の中には、関節で炎症を引き起こすもの(arthritis-related protein (Arp))が有名ですが、基本的に私たちの全身の細胞の構成成分と類似しているため、どの組織でも炎症を引き起こす可能性があります。
また、このバクテリアのリポタンパク質は、マクロファージや好中球などの食細胞の色作用をブロックする免疫抑制の作用も持ち併せています(Microbes Infect. 2008 Jan; 10(1):60-8)(Infect Immun. 2015 Dec; 83(12):4848-60)。
ダニ咬傷でも、ワクチン、ステロイドやオメガ3と同じく、免疫抑制(食作用のブロック)のため、炎症ゴミが蓄積することが、後の自己免疫疾患やガンを引き起こすことになるのです。
ダニに感染しているバクテリアには、テトラサイクリン、ミノサイクリンといった抗生物質が有効ですが、これらはバクテリアを殺傷するのではなく、クワイノン(クイノン)として糖のエネルギー代謝を高める(細胞内を還元から酸化状態に戻す)作用があるからです(したがって、ビタミンKでも効果がある)。
もっとも、ダニの咬傷では、バクテリアだけでなく、ダニの無数のウイルスと呼ばれる遺伝子の破片、エクソソームや血液が私たちに移行しますから、これらの異物が処理できない場合にも炎症の原因となります。
いずれにせよ、バクテリアや遺伝子の破片を怖がる必要はなく、そのゴミ処理能力を高めておくことが最大の健康の秘訣です。
2021年6月11日
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