子宮ガンの手術とワクチン

初期子宮内膜がん/骨盤内リンパ節郭清術,放射線外部照射はルーチン治療に推奨できない

子宮ガンの手術では、リンパ節郭清術、放射線療法を併用して行っています。このような治療のやり方が果たして早期子宮ガンにも有効かどうかが検討されました。

初期子宮内膜がんに対する一般的な補助療法〔骨盤内リンパ節郭清術あるいは放射線外部照射(external beam radiotherapy;EBR)〕は,ルーチン治療の一部に含めるべきではないことを示唆する2件の研究です(Lancet  2009; 373: 125-136、2009; 373: 137-146)。

骨盤内リンパ節郭清および放射線療法のいずれも、再発や生存率を改善することはないという結果でした。早期子宮ガンではリンパ節郭清術、放射線療法は無駄であるばかりか、子宮がん患者さんの体に負担がかかるだけであったということですね。

外科手術は大した根拠がなしに慣習的に行われていることが多く、今後このような研究がなされることで早期子宮ガンに限らず、進行子宮ガンや他のガンでも治療法の大幅な見直しがおこなわれていくでしょう。

研究の詳細はコチラ

→英国医学研究評議会(MRC,ロンドン)臨床試験部門のAnn Marie Swart博士とマンチェスター大学(マンチェスター)のHenry Kitchener教授らが発表した1件目の研究では,子宮摘出と両卵巣・両卵管の切除(両側卵管卵巣摘除術:BSO)に追加した骨盤内リンパ節郭清術の便益を検討した。

骨盤内リンパ節郭清術は,子宮外病巣の有無を確認する目的以外に,治療法としても利用されている。今回,Swart博士らは,4か国(英国,ポーラン ド,南アフリカ,ニュージーランド)85施設で局所的と判断された子宮内膜がん患者1,408例を対象にランダム化試験を行った。被験者のうち704例を 標準的外科手術(子宮摘出とBSO,腹腔洗浄,傍大動脈リンパ節の触診)群に,残る704例を標準治療に加えてリンパ節郭清を行う群にランダム化割り付け した。一次アウトカムは全生存であった。

3年強(中央値)の追跡期間中の死亡は計191例で,標準的外科手術群の88例(13%)に対し,リンパ節郭清群では103例(15%)と,標準的外科 手術群のほうが死亡リスクが16%高かった。死亡と再発を合計すると,標準的治療群では107例がいずれかを経験したのに対し,リンパ節郭清群では144 例と,リスクが35%高かった。

ASTEC(a study in the treatment of endometrial carcinoma)研究グループが発表した2件目の研究では,EBRについて検討している。EBRは早期子宮内膜がんの手術(子宮摘出あるいはBSO)が成功した女性に用いられている。早期子 宮内膜がんは手術が成功しても,そのがん病理特性のため再発リスクが増加すると考えられている。
 この研究では,7か国(英国,カナダ,ポーランド,ノルウェー,ニュージーランド,オーストラリア,米国)における112施設から得られた女性患者 (ASTEC研究参加者789例,EN.5研究参加者116例)を分析している。患者は術後,経過観察群(453例)あるいはEBR群(452例)にラン ダム化割り付けされた。EBRは週5回行い,20?25回/日の分割線量を目標用量に達するまで照射した。この試験においても一次アウトカムは全生存で あった。
 58か月(中央値)の追跡期間中,経過観察群の68例(15%)が死亡したが,EBR群では67例(15%)であった。EBR群で全生存が高いという証 拠はなく,5年全生存は両群とも約84%であった。ASTEC研究およびEN.5研究の他のデータを組み合わせたメタアナリシスでは,この結果はEBRの 全生存に対する便益を示さなかった。
 また,今回の試験では患者の53%に小線源治療(がん部位の近くに小型の放射性物質を封入したペレットを埋め込む方法)を施行したが,経過観察群の5年局所再発率は6.1%であった。

子宮頸癌ワクチンの効果と安全性について

子宮頸がん原因ウイルス(HPV)に日本人女性が一生のうち一度でもかかる危険性はほぼ80%です。このうち0.15%が1期以上の子宮頸がんを発症します。日本人では年間15000人の新規患者発生、3500人が死亡と推定されています。子宮頸がん罹患率は、100万人あたり140人。30-50歳の間では、100万人あたり400人を超えるといいます 。

ここ20年で日本の20-30歳代の女性子宮頸がん患者数が倍増しています。30代女性における人口10万人あたりがん罹患率の内訳では、子宮頸がんが55人と1位です(2位の乳がんの30人)。子宮頸がんの初期の場合、他のガン同様自覚症状は殆ど認められません。がんが進行すると、不正出血、性行為の際の出血などが起こります。

HPVに感染し、前がん病変ががん細胞になるには数年から十数年かかります。進行は極めて緩徐ですので、早期発見し治療すれば高い治癒率が期待できる疾患です。若年女性に対するワクチン接種により、現在最も子宮頸がん発症頻度の高い20-40代のがん発症の予防効果が期待され、妊娠・出産時期の女性の子宮を温存することができることから子宮頸がんワクチン接種の必要性が認識されるようになりました。

HPVには100種類以上の種類があります。子宮頸がんを引き起こす危険度の高いウイルスが15種類あります。日本人では67%の子宮頸がんとHPV16型、18型が関与していると報告されています。現在日本では、HPV16型、18型に効果のある2価ワクチンが使用されており、その他の型にも効果のあるワクチンも開発されています

さて、HPVに感染した場合、子宮頸がんに進展する人の割合は大きいのでしょうか?

子宮頸がんは、がん細胞が表面の上皮に留まっている上皮内がん(CISあるいはCIN3)と呼ばれるごく初期の病変の段階でも検診で発見されます。ウイルス持続感染した方のうち軽度および中等度の前がん病変(CIN1~2)まで進むのが約10分の1、高度の前がん病変(CIN3)まで進むのが、さらにその約3分の1とされています。

高度の前がん病変をごく初期の子宮頸がんと考えると、そこまで進むのはウイルス持続感染者の約3.3パーセント です。そこから、1期以上の子宮頸がんに進む人は更に少なく、ウイルス感染者全体のうち0.15%です。ということは、感染者の98%以上は自然治癒しているということです。

HPVに対するワクチンは、現在のところ2種類あります。現在、日本で承認発売されているものは16型、18型を抑える2価ワクチン (サーバリックス)です。もう1種類は、6型・11型・16型・18型を抑える4価ワクチン(ガーダシル)ですが、日本では承認待ちです。

次いでワクチンの有効性と副作用(有害事象)はどうでしょうか?

HPV16型・18型によって起こるとされる子宮頸癌前がん病変をほぼ100%予防することが報告されています(Lancet. 374(9706):1975-85, 2009)。そして、ワクチン効果は6.4年継続 することが示されています(接種開始されてから6.4年時点でのデータが解析されたため)。

有害事象として、ワクチン接種部位の局所発赤・ 腫張・発熱などがよく認められますが、重篤なものは少なく一過性で回復するものがほとんどと報告されています。ワクチン接種が直接的死因となった報告は乏しく、死亡リスクは1/100万-500万分の1 以下と推定されています。

ワクチンには免疫賦活剤(アジュバント)が含まれています。HPVに対する免疫力を維持するためのものですが、2価ワクチンにはAS04と呼ばれる 水酸化アルミニウム 500μg及びMPL 50μgのアジュバントが、4価ワクチンにはアルミニウム塩(AAHS) 225μgのアジュバントが含まれています。アジュバントによる自己免疫疾患の発症増加、不妊は現在 のところ報告されていないようです。これは今後の長期にわたる調査報告で明らかになるでしょう。

最後に子宮頸がん予防ワクチンは前述のように11-14歳への接種が最も効果的とされており、本来妊婦さんを対象としたものではありません。現在の性交渉の低年齢化を考えると11-14歳への接種は妥当のように思えますが、過去のポリオウイルスに混入していたSV40発癌ウイルスやインフルエンザウイルスワクチンによるギランバレー、急性散在性脳脊髄炎あるいは不妊ワクチンの臨床実験など、世界規模では私たちの考えられないようなことも進行しています。

私はワクチンに関しては、今後の長期的副作用も含めて慎重な態度をとっています。性交渉については予防と節度が第一です。それを踏み外したときに、不可避におこる感染症に関してはあくまでも自己責任の範囲です。

しかし、国家が強制するワクチンの場合は、自己責任の範囲を越えてしまいます。ですから、優れた医学研究者の客観的なデータを自分で判断して必要と考えた人のみ子宮頸癌ワクチン接種を希望すればよいのです。

これを現在もその存在が危ぶまれている国家などという幻想主体に補助金(これはつまり私たちの税金です)を出さしてでも強制的に接種させるという発想がまったく理解できません。すでにそういった社会国家主義や資本主義自体が八百長であることをいい加減にはっきり分からないといけません。



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