子宮がんについて
子宮がんについて2
どのような治療を選択すればよいのか?
子宮がんを代表とするガン疾患は、単一の原因で起こるものではなく、衣食住の環境因子が複合に絡み合っておこる慢性病です。遺伝子のオン/オフもすべては環境因子が細胞膜に信号を送ることで情報がリレーされて起こります。
子宮内膜がん(子宮体がん)は、インフルエンザウイルス感染症や結核のように、病原体→感染症という簡単な図式(線形病)ではなく、環境複合因子→慢性炎症という複雑系(非線形病)の形をとります。子宮頚がんについてもヒトパピローマウイルスの感染後の複雑な慢性炎症反応によって子宮頚部のガン化が起こってきます。
子宮頚がん、子宮内膜がん(子宮体がん)のいずれも早期発見では手術療法で完治する可能性があります。しかし、子宮内膜がん(子宮体がん)は卵巣がんと同じで腹部の深いところに拡大していきますので、手術では完治できない場合があり、その場合は術後に放射線療法や抗がん剤治療を加えていきます。
術後抗がん剤治療、放射線療法による副作用を最小限に抑えながら、自己治癒力を向上させる治療が最も理にかなっています。
当研究所の子宮がん治療方針は、子宮がん(子宮頚がん、子宮内膜がん(子宮体がん))という複雑系の病気に対して、個々人に応じた心理サポートを含めた自己治癒力を向上させる多数のアプローチを提案いたします。
抗がん剤による副作用は長期になるほど大きくなります。抗がん剤を長期的に投与しなければならない場合、子宮がん細胞以外の組織に与える毒性を軽減する方法が求められています。
以下に実際の一般的な子宮がん治療をまとめます。
①子宮ガン発症・進展の原因となる酸化ストレスを予防原則に従って軽減させる生活習慣を直ちに実行する。
②子宮頚がん、子宮内膜がん(子宮体がん)のいずれも早期発見では手術療法を第一選択とする。
③進行子宮がんの場合、抗ガン剤の投与を考慮。副作用が重篤でない場合は、継続する。副作用を軽減させる治療も併用する。
④抗ガン剤の副作用が重篤な場合は、減量するか中止する。副作用を軽減させる治療も併用する。
⑤痛みが強く、生活に多大な支障が出ているときは対処療法(モルヒネ)で痛みを軽減する。
子宮頚がん(ガン、癌)の検査
子宮がん(ガン、癌)の一般的な検査についてお話します。
子宮頚がん(ガン、癌)の検査
- 子宮頚がん
・細胞診(Pap)。性活動開始3年以内~70歳まで毎年スクリーニングを行います
↓
・細胞診で異常が疑われた場合のさらなる検査
・パピローマウイルス(HPV16,18,31,33,35が子宮頚がんと関係)の検索
・子宮鏡による子宮内観察
↓
・バイオプシー(生体検査)
ステージ | 表皮内がん(早期子宮頚がん、CIN: cervical intraepithelial neoplasia) |
---|---|
0 | 上皮内がん陰性 |
1 | 非典型的扁平上皮がん |
2 | 低分化扁平上皮内がん |
3 | 高分化扁平上皮内がん |
早期子宮頚がんの治療
子宮頚がん冷凍療法、レーザ治療、電気凝固治療、子宮頚がん切除治療、子宮摘出術
- 浸潤性子宮頚がん(悪性)の場合
・胸部レントゲン、CT,MRI、腎盂造影などで子宮頚がんの拡がりと転移巣を検索します。
子宮頚がん(ガン、癌)の検査
子宮がん(ガン、癌)の一般的な検査についてお話します。
子宮頸癌のヒトパピローマウイルス(HPV)DNA検査
ヒトパピローマウイルス(HPV)は100種類以上のタイプがあります。子宮頸癌の70%はその中でHPV16型と18型の感染が原因と考えられています。
米国食品医薬品局(FDA)は2009年3月13日、子宮頸癌の主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)16型と18型のDNA検査「Cervista 16/18」の市販前承認申請(PMAA)を承認したと発表しました。 高リスク型に対するHPVの検査「Cervista HPV HR」も承認されました。
「Cervista 16/18」は、HPV16型と18型のDNAシークエンスを検出するものです。一方の「Cervista HPV HR」は、子宮頸癌に関係するHPV のうち高リスクの14種類のタイプを検出できるものです。
いずれのHPV検査も、子宮頸癌が発症しやすい30歳以上の女性に対し、細胞診と併用して用いられます。また、細胞診で意義不明異型扁平上皮細胞(ASCUS)が検出された患者では、年齢に関係なく実施され、HPV検査が陽性であれば、精密検査が行われます。
Cervista HPV HRの臨床試験は米国89カ所およそ4000人の女性を対象に実施され、前癌病変である子宮頸部高度異型病変(CIN3)の検出において感度100%であったといいます。
特異度(本当に子宮がんがない人に検査が陰性になる割合)も高かったのでしょうか?臨床試験は感度(感受性)、特異度がいずれも高くないと意義がありません。日本でも臨床試験を施行して合格すればいずれは導入されるのでしょう。
子宮体がん(ガン、癌)の検査、ステージ
子宮体ガンの検査
- 子宮内膜サンプリング
- 子宮鏡、超音波検査
- 子宮内膜病理検査(確定診断)
- 子宮体ガン(悪性)のステージ分類
ステージ | 子宮体がんの範囲 |
---|---|
I Ia Ib Ic |
(子宮体部に限局している) 子宮内膜に限局 子宮筋層1/2まで 子宮筋層1/2より深く浸潤 |
II IIa IIb |
(子宮頚部に浸潤している 子宮頚部内膜腺組織限局 子宮頚部内膜間質まで浸潤 |
III IIIa IIIb IIIc |
(子宮体部近傍に浸潤している) 子宮漿膜、卵巣、卵管まで 膣まで 骨盤あるいは傍大動脈リンパ節まで |
IV IVa Ivb |
(子宮体部より離れた部位にまで浸潤) 膀胱、直腸、骨盤腔外 遠隔転移 |