卵巣がん(ガン、癌)の治療

卵巣がん(ガン、癌)の治療1

まず現代医療の卵巣がん(ガン、癌)治療をまとめます。

  1. 手術療法
  2. 放射線療法
  3. 化学療法

卵巣がんの一般的ながん(ガン、癌)治療の三本柱です

  1. 良性卵巣がん(ガン、癌)治療
    • 卵巣摘出術。片側の卵管・卵巣摘出術
  2. 悪性卵巣がん(ガン、癌)治療
    • 単純に子宮全摘出術+両側付属器摘出+リンパ節郭清+大網切除が手術治療で選択されます。
  3. 再手術
    • 悪性で摘出不能例でも、化学療法、放射線療法、腫瘍減圧術を行ったうえで再手術します。

卵巣がんは発見されたときは、すでに他臓器に浸潤していることが多いため治療は困難を極めます。

卵巣がん(ガン、癌)の治療は、極力卵巣がん細胞の拡大を抑え、同時に自己治癒力を引き出していくことに集約されます。

卵巣がん(ガン、癌)の発生の原因となる酸化ストレス(感染、重金属、紫外線などの放射線など)を除去しながら、現存する卵巣がんの拡大を防ぐことが治療の柱となります。

卵巣がん(ガン、癌)の発生の原因となる酸化ストレスを生活習慣改善で除去し、抗がん剤や自然治療を併用して現存する卵巣がんそのものの拡大・転移を抑えていきます。

卵巣がん(ガン、癌)治療の概要は、

  • (1)卵巣がん(ガン、癌)細胞の拡大をストップする
  • (2)生活習慣、環境要因を整えることで酸化ストレスに耐性をつくる
  • (3)自己治癒力を引き出す

この治療方針は卵巣がん(ガン、癌)治療のゴールデンスタンダードです。ガンの拡大・転移を防ぎ、時間をかけてゆっくり生活習慣改善を実行し、自己治癒力を引き出していくという統合治療が卵巣がん(ガン、癌)の治療戦略となります。抗ガン剤を使用する場合は、副作用を軽減する方法も併用していきます。

卵巣がん(ガン、癌)の手術治療1

卵巣がん(ガン、癌)の手術治療。悪性度と病気で決定されます。

  • 良性かつ卵巣限局の卵巣がんの場合
    →卵巣摘出術
  • 悪性かつ卵巣外への浸潤卵巣がんの場合
    →両側卵管卵巣摘出術+子宮摘出術+大網切除+腹部大動脈リンパ節郭清(転移部切除)+術後化学療法
  • 化学療法

術後の抗がん剤治療
カーボプラスチン(シスプラチン)、タキソールなどを使用します。

卵巣がんの手術治療2

初回治療は手術と化学療法(抗癌剤治療)の組み合わせです。手術手技は以下のものである。

  • 両側付属器切除術
  • 子宮全摘術
  • 大網切除術
  • 後腹膜リンパ節郭清術

これに進行卵巣がんでは腫瘍減量術が加わります。

卵巣がんの予後は残存腫瘍の大きさで決まるといわれていますが、
従来の抗がん剤治療で効果が低い卵巣がん(粘液性腺癌、明細胞腺癌)では
残存腫瘍が1cm以下でも取り残しがあると予後は悪いという結果が出ています。

卵巣がんの抗がん剤治療

標準治療として卵巣がん術後の抗がん剤治療は
TC療法:パクリタキセル175mg/m3/3h + カルボプラスチンAUC5~6
DC療法:ドセタキセル175mg/m3/3h + カルボプラスチンAUC5~6
・Ⅰ期卵巣がん:TC(DC)療法を3~6コース
・進行卵巣がん:TC(DC)療法を6コース

  • 卵巣がんの抗がん剤治療の副作用
    TC療法:末梢神経毒、関節痛、脱毛
    DC療法:好中球減少、浮腫
  • 卵巣がん腹腔内抗がん剤治療
    卵巣が腹腔内臓器であることから、卵巣がんは腹腔内転移(播種)を起こします。このため、現在卵巣がん腹腔内抗がん剤治療が試験的に行われていますが、まだ効果・副作用を含めた検討が行われている段階です。

卵巣がんの抗がん剤治療2

術後のドーズ・デンス治療

卵巣がんは、女性のがんの中では乳がんと同様に年々増加傾向にあります。上皮性卵巣がん(以下卵巣がんと省略)の日本での罹患数は7418人(2002年)、死亡数は4435人(06年)であり、約60%の高い死亡率です。

卵巣がんは化学療法に感受性の高いがんとして知られていますが、大量化学療法や1回の投与量を増やすdose-intensive therapy(強化化学療法)が検討された時代もあったが、これらの試験結果すべてで目覚ましい効果は得られませんでした。

現在、乳がんで普及しているドーズ・デンス化学療法を卵巣がんで検証する動きが世界中で活発なものになっています。

Dose-dense(ドーズ・デンス)化学療法とは、抗がん剤の投与量は増やさずに、投与間隔を縮めることにより、抗腫瘍効果を高めようとする理論背景に基づきます。

腫瘍細胞の増殖は、腫瘍量が少ないときには速く増殖が進み、腫瘍量が多くなると栄養を補給する血液量や酸素が少なくなるため、増殖が遅くなるというGompertzian(ゴンパーチアン)の増殖モデルを基に、化学療法による腫瘍細胞の減少のモデル(ノートン・サイモンのモデル)を提唱されました。

ノートン・サイモンのモデルとは、化学療法が奏効し、腫瘍の大きさが小さくなるにつれて治療効果は高くなりますが、治療後のreboundで腫瘍細胞の増殖速度も速くなります。

モデルでは、8回の化学療法後、腫瘍細胞は1万個に減少しますが、腫瘍の増殖速度は1000倍となるといいます。ノートン・サイモンのモデルは、地固め療法、術後化学療法や逐次化学療法(sequentialchemotherapy)の理論的背景となり、その理論の正当性が証明されています。

ドーズ・デンス化学療法はノートン・サイモンのモデルを基に提唱され、乳がんの術後化学療法、転移性乳がんの化学療法で実証されています。ドーズ・デンス化学療法として、weekly paclitaxelは有名です。

乳がんに応用されているドーズ・デンス化学療法を卵巣がんでも検証する目的で、従来の3週間ごとのTC療法(パクリタキセル(PTX)+カルボプラチン(CBDCA)併用、ともに3週ごと1回投与)をコントロール群として、PTXの投与間隔を3週間から1週間に狭めたドース・デンス化学療法の有効性を検討するランダム化オープン比較試験NOVEL(New Ovarian Elaborate trial:JGOG3016)が日本で計画されました。

その結果、ドース・デンス化学療法は、従来の抗がん剤治療法より無増悪生存期間、3年生存率で有意差が出たと報告されています。この結果を受けて、他国でも追試試験が行われる予定のようです。

統計学的な有意差といっても、無増悪生存期間:28カ月対17カ月(中央値)、3年生存率72.1%対65.1%です。この生存期間延長が、血液異常の副作用(貧血、白血球減少)と引き換えですから、個々の卵巣がん患者さんにとってどれだけ意味があるかは現場の判断によるでしょう。

詳細はコチラ

→この試験は、特定非営利活動法人婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構(JGOG)の主導で実施された。同試験の対象は、20歳以上の組織学的または細胞学的に確認されたStageⅡ~Ⅳ期の卵巣がんおよび原発性腹膜がん、卵管がん患者637例。03年4月~05年12月に、日本全国85のJGOG認定施設から登録された。

治療は、(1)標準治療のPTX+CBDCAの3週1回投与群(TC療法群:320例)と(2)PTX週1回+CBDCA 3週1回投与群〔ドーズ・デンスTC(dd-TC)療法群:317例〕にランダムに割り付けた。PTXの投与量は、dd-TC療法群で80mg/㎡(体表面積)、TC療法群で1回180mg/㎡、CBDCAの投与量は両群ともに血液濃度曲線下面積(AUC)6mg/mL/分とし、各群とも6~9サイクルの治療を行った。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)、奏効率、有害事象、QOLであった。有効性の解析は、TC療法群319例、dd-TC療法群312例、安全性解析は、各群314例、312例で行った。両群間の患者背景に大きな差は認められなかった。

その結果、dd-TC療法群では、TC療法群に比べて無増悪生存期間(PFS)が有意に延長した〔28カ月対17カ月(中央値)、ハザード比0.71、95%信頼区間(CI)0.58-0.88、P=0.0015〕。3年生存率はdd-TC療法群でTC療法群に比べて有意に高かった(72.1%対 65.1%、HR 0.75、CI 0.57-0.98、P=0.03)。

早期の治療中止例は、dd-TC療法群でTC療法群に比べて多かった(165例対117例)。dd-TC療法群で血液毒性による中止症例が多かった(113例対69例)。最も頻度が高い有害事象は、好中球減少症〔dd-TC療法群92%(286/312例)対TC療法群88%(276/314例)〕。グレード3および4の貧血発生率は、dd-TC療法群で有意に高かった(69%対44%、P<0.0001)。神経毒性は両群間で同等であった。

卵巣がんの分子標的治療(1)

卵巣がん初回治療後(手術+抗がん剤)の維持抗がん剤治療では
全く生存期間の改善が認められていません。卵巣がんを含め多くの抗がん剤は
ただ毒性が強いだけで、癌を治すどころかその制御をすることすらできません。
私が癌で体が蝕まれても、抗がん剤は使用しないでしょう。

現在、少しでも卵巣癌に選択的に作用し、その増殖を抑える(癌を治す訳ではありません)目的で分子標的治療が考案されています。

たとえば卵巣がんに栄養を与える血管の新生を抑える血管新生阻害因子ベバシズマブ(アバスチン)を用いた臨床試験が米国で行われています。

この新しい分子標的治療薬もたかだか極めて限られた感受性のある人だけに、卵巣がんの増大を抑える程度の効果があるだけです。また医学会ではこれを抗がん治療を組み合わせるという貧困なアイデアで用いることから画期的な卵巣がん治療とは言えないのが残念です。

卵巣がんの分子標的治療(2)

抗インターロイキン6(IL-6)抗体であるCNTO328が、再発上皮性卵巣癌の治療薬になる可能性が2009年米国癌研究会議(AACR)で発表されました。

IL-6は炎症反応の指標であるCRPという蛋白質を作ります。つまり、炎症性サイトカインの代表的物質です。今回抗インターロイキン6(IL-6)抗体を使うと再発卵巣癌の方の臨床効果を認めたことは、慢性炎症が卵巣がんの発生、進行に深く関与していることが示唆されるものです。

詳細はコチラ

→  フェーズ2臨床試験は最大3種までの白金系抗癌剤の治療を受けたか、ファーストラインの治療として白金系抗癌剤の治療を受けている最中、または完了してから6カ月以内に再発した卵巣癌患者さんを対象に行われた。再発卵巣癌患者さんにはCNTO328を2週間置きに5.4mg/kgを静脈内投与した。FDG PET-CTスキャンによる評価前には最大で5回までの投与とし、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定状態(SD)の有効性が見られた患者には最大で12回まで投与することとした。その時点で有効性が継続していた場合には治療を6カ月延長すると決めた。

2007年8月に試験を開始 してから、現在までに17人の再発卵巣癌患者さんが登録されており、16人が少なくとも3回のCNTO328の投与を受けており、RECIST評価もしくは腫瘍マーカー CA-125による評価で、1人の再発卵巣癌患者さんがPR、6人の再発卵巣癌患者さんがSDとなった。臨床効果のあった7人中4人で、3回の治療後に倦怠感の改善が認められた。

IL6のサロゲートマーカーであるCRPが最初の6週間の間、検出限界だった再発卵巣癌患者さんは8人おり、臨床効果のあった6人全員が含まれていた。サイトカインプロ ファイリングを調べたところ、臨床効果の認められた再発卵巣癌患者さんでは、IL-6に加えて、IL-1β、IL-8、IL-10、TNF-α、CCL-2のレベルが病状が進行したグループよりも低下していた。 CNTO328に関連した副作用は見出されていないという。



このページの先頭へ