膠原病の症状

膠原病は全身性の疾患

最終的にはさまざまな臓器にわたって慢性の炎症が起きますが、最初の症状として以下のような全身症状が共通して認められます。

共通する全身の症状の特徴

  1. 発熱(持続する微熱)
  2. 体重減少
  3. 全身倦怠感(疲れやすい)
  4. 関節の痛み・腫れ
  5. 皮膚の発疹
  6. レイノー現象

というような症状です。

同時にいろいろな臓器に障害がおきる

腎臓、肺、皮膚・粘膜、血管、脳神経、筋肉などが障害され、多彩な症状が出ます。

そうすると腎炎、肺炎、皮疹、梗塞、痙攣、筋肉痛、口腔粘膜乾燥症状、ドライアイなど多彩な症状が疾患によってでてきます。特に、腎不全、間質性肺炎などの症状は膠原病患者さんの生命予後に深く関係していきます。

どの膠原病も炎症が拡大すれば、全身のあらゆる臓器に障害がでるために多彩な症状が出ます。主に症状が発生する場所で分けると以下のようになります。

内臓 全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性組織結合組織病など
関節  慢性関節リウマチ、スティル病
皮膚・筋肉 強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、リウマチ性多発筋痛症
血管 結節性多発性動脈炎、血管炎症候群
唾液腺 シェーグレン症候群
粘膜 ベーチェット病

肺病変(間質性肺炎)

膠原病は、血管の炎症が起こるために多くの臓器にわたって障害が起こります。
その中でも腎臓と肺は血管も豊富なため、膠原病では最も障害され症状のでやすい臓器です。
膠原病の肺病変は、主に間質性肺炎といわれるものです。症状としては、発熱、咳が主ですが、進行すると呼吸不全症状が出ます。最も重要な予後因子とされています。
日本では間質性肺炎を合併症とする割合は、疾患によって以下のようになります。

関節リウマチ(RA) 30%
全身性エリテマトーデス(SLE) 5%
多発性筋炎皮膚筋炎(PD/DM) 50%
全身性硬化症(SSC) 40%
シェーングレン症候群(SS) 5%

関節痛はどのような病気で起こるか?

関節リウマチを含む膠原病のほとんどで関節の炎症が起きます。

しかし、関節が痛む、あるいは体がこわばるといった症状が続いているのに関わらず、病院の検査で関節リウマチや他の膠原病と診断されないケースでご相談を受けます。多くは関節リウマチなどの膠原病なのですが、中にはそれ以外の疾患の方もおられます。

関節の炎症の見分け方についてお話したいと思います。

次の5つの質問でだいたいの見当がつきます。

  1. どこの関節が炎症を起こしているのか?
  2. 急に起こったのか、慢性的なのか?
  3. 関節以外の症状があるか?
  4. 炎症反応があるか?
  5. 炎症はどのようなものか?

それでは5つのポイントについて説明していきましょう。

1.左右対称で多くの関節が痛む場合は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)が考えられます。左右対称でも膝だけ、あるいは肘だけという場合は、痛風や菌血症に伴う関節炎が考えられます。右から左か片方だけの場合は、変形性関節症が考えられます。関節の炎症が移動する場合は、リウマチ熱、淋菌やライム病などの感染症が考えられます。

2.慢性的な痛みは、変形性関節症、関節リウマチなどの膠原病に特徴的です。急に起こった痛みは痛風や菌血症に伴う関節炎が考えられます。

3.膠原病では関節以外に他の臓器の合併症が認められます。以下に代表的な疾患の症状をあげます。

全身性エリテマトーデス(SLE)では、肺(胸水貯留)、腎臓(タンパク尿、腎不全)、中枢神経症状(脳卒中、性格変化)、皮膚(蝶形紅斑、光過敏)、血液(貧血、血少板減少症)

シェーグレン症候群では、ドライアイ、ドライマウス、耳下腺腫脹

強皮症では、皮膚硬化、レイノー現象(指先が白くなる)

ヴェゲナー肉芽腫では、上気道炎症(副鼻腔炎、鼻炎)、下気道炎症(喀血)、腎臓(タンパク尿、腎不全)が認められます。

4.関節の炎症(腫脹、発赤)がなければ、変形性関節症です。

5.朝のこわばりが1時間以上続く(6週間)場合は関節リウマチです。

以上のように「関節が痛む」といっても単なる変形性関節症(加齢やスポーツで起こる)から関節リウマチや他の膠原病、菌血症による関節炎、痛風までいろいろな病気があります。

このうち変形性関節症以外は、サイトカイン、コラーゲン溶解酵素などによる炎症の拡大が病状の進行に関与しています。

膠原病の経過で急激な関節痛が起こった場合

(症例)
シェーグレン症候群、関節リウマチ歴15年の40歳の女性。左肩が3日間急に腫れて痛くなった。検査の結果たしかに、左肩の関節の炎症が進行している。医師は関節リュウマチの増悪と判断し、ステロイドを増量したが、軽快せず全身に紅斑が認められた。
(経過)
今回、医師は関節リウマチの悪化と考え、ステロイドを増量したようですが、症状が軽快しないばかりか、全身に紅斑が出てきました。関節液を抜いて調べて頂くようにお願いしたところ、黄色ブドウ球菌が認められました。しかし、全身に紅斑が認められたことから、淋菌による関節炎も疑い、他の部位(頸部、咽頭、直腸、尿道)を調べたところ淋菌が確認されました。
(確定診断)
淋菌、黄色ブドウ球菌による感染による関節炎
(解説)
まず関節リウマチなどの関節の炎症を起こる膠原病と診断されている場合でも、一つの関節だけの炎症が認められた場合は、感染による関節炎を疑って関節液を調べなければいけません。

関節リウマチや膠原病ではウイルス・細菌の明らかな感染が認められない(というか検出できない)のですが、このケースのように明らかにバイ菌の感染が関節炎を引き起こすことがあります。

また食中毒で有名なカンピロバクターやB型肝炎ウイルスでも関節炎が起こります。すでに関節リウマチなどの膠原病と診断されていても、一つの関節だけが腫れてきたりした場合は、感染性の関節炎の可能性があるので注意が必要です。

関節リウマチなどの膠原病では、もともと免疫力の低下があり、ステロイド、免疫抑制剤などの長期投与でさらに免疫力が下がっています。したがって、今回のケースのように二次感染も起こしやすいので注意が必要です。



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