医薬品を服用することが不安な方に

医薬品の服用が心配・・(1)

関節リウマチ、膠原病の治療で使用されるステロイドや新薬も含めた免疫抑制剤は、主作用自体が副作用になる諸刃の剣です。すでに内服されている方は、本当に継続して服用しても大丈夫なのか不安になるのは当然です。あるいは、副作用の強い医薬品は服用したくないので、自己判断で中止される方もおられます。

(自己判断で中止するとリバウンド現象が起こることがあります。リバウンド現象とは、服薬を急に中止することで、関節リウマチや膠原病の症状が一時的に悪化することです。ですから、これらの医薬品を中止する場合は、専門家の指示に従ってください。)

ステロイドや従来の免疫抑制剤、抗がん剤治療では、症状を抑えることができても、組織の破壊を食い止めることができません。そこで新しく登場したのが生物学的製剤と呼ばれるものです。

生物学的製剤とは関節リウマチや膠原病の慢性炎症の火種となる「炎症性サイトカイン」という局所ホルモンを抑えるものです。欧米の医学界で、今盛んに使用されてその結果が報告されています。そのほとんどは、従来の医薬品による治療よりも、有効率が高いというものです。

しかし、生物学的製剤を使用した治療も問題点があります。

  1. 長期的な結果のデータが十分出揃っていないこと。
  2. あくまでも対処療法であり、根本治療でないこと。
  3. 副作用も従来の医薬品より強いこと。
  4. 有効でない症例も多く存在すること

などがあります。

現時点では、急性期の治療としては生物学的製剤に優る医薬品治療はないでしょう。しかし、その副作用が心配な方や医薬品による治療が嫌な方には、根本治療をベースとした自然治療の選択の道があります。治療は「精神免疫学」という学問が教えるごとく、信頼関係がないければ、効果あるものもなくなってしまうのです。

医薬品の服用が心配・・(2)医学的根拠の危うさ

関節リウマチ、膠原病などの慢性炎症で使用されるアスピリンや非ステロイド系の鎮痛薬には消化管潰瘍という重篤な副作用が問題となっていました。そこで米国大手製薬会社のメルクは『バイオックス』という消化管潰瘍の副作用がでない薬を発売しましたが、その副作用(心筋梗塞)で死亡した事件が裁判となっていました。昨年、その判決が出て、製薬会社の全面敗訴が決まりました。

この事件をきっかけに米国で医薬品の承認に至る科学的根拠となる臨床実験や論文の問題を詳細に調べて報告されました(JAMA 2008; 299:1800-1812.)。

抗うつ薬ではすでに多くの問題が指摘されていましたが、関節リウマチや膠原病などの慢性炎症で使用される医薬品でも同じ構造が指摘されています。

その構造を要約すると

  • 多くの医学論文が製薬会社スポンサーまたは第三者の医学出版系のゴーストライターによって書かれており、学識経験者(医師、研究者)の名を使って出されている
  • 医薬品による副作用や死亡率は、論文などに公表されたデータと製薬会社内の本当の実験データとは食い違う(公表されたデータは副作用が少なく報告されている)。
  • 医学論文や学会に公表されるデータに関して、都合の悪い副作用のデータは見かけ上、低くなるような統計処理が行われるのが通常である。
  • 論文のきちんと製薬会社との利害関係に言及しているものは半数に満たない。
  • というものです。

    私たち日本の医師は、こういった経緯でねつ造されたデータとも知らずに、製薬会社やその手先である大学教授の勧めに唯唯諾諾として大量の医薬品を使用しているという現状があるのです。近代社会の末路とはこんなものかも知れません。

    医薬品の服用が心配・・(3)医薬品の副作用

    関節リウマチの医薬品治療では、ステロイド、リュマトレックス、生物学的製剤などの免疫抑制作用をもつものが使用されます。そのため、関節リウマチの治療にあたっては、医薬品の副作用が皆様の最大の関心事だと思います。

    以下にいくつか関節リウマチの治療で発生するガンについての研究をご紹介したいと思います。

    関節リウマチの治療に免疫抑制剤のシクロホスファミドを用いた場合、血液悪性新生物(リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫)の相対リスクが高くなることがカナダのマクギル大学(カナダ・モントリオール)臨床疫学科のSasha Bernatsky博士らによる症例対照研究で報告されています(Archives of Internal Medicine(2008; 168: 378-381))。

    1999年に報告された研究では、15か国1,773例のRA患者を対象に10年のフォローアップ期間で、特定の悪性新生物の発生リスクと免疫抑制薬服用期間との関係が検討されました。治療期間が最長の患者群を最短の患者群と比べた場合、免疫系のがん、皮膚がん、膀胱がんの調整後罹患率比は 3.74(95%CI 1.48〜9.47)でした。個々のリウマチ性疾患による悪性新生物のリスク上昇に加え、特定の悪性新生物リスクが免疫抑制療法の使用期間と関連して上昇することが示されています(Asten P, et al. Journal of Rheumatology 1999; 26: 1705-1714)。

    2005年の研究では、抗TNF薬がリンパ腫リスクの上昇と関連する可能性が示されました。エタネルセプトまたはインフリキシマブの投与を受けた患者757 例を対象とした比例ハザード分析では、抗TNF療法を受けた患者でのリンパ腫の相対リスクは4.9(95%CI 0.09〜26.2)という結果でした(Geborek P, et al. Annals of the Rheumatic Diseases 2005; 64: 699-703)。

    これに対して一部の研究者では、関節リウマチそのものがガンを引き起こす可能性を示唆しているため、一致した結論は得られていないとされています。関節リウマチは慢性炎症の代表であるため、ガン化しやすいのは当然ですが、これに免疫抑制剤を使用するとガンの形成・促進が加速されると考えるのが自然でしょう。

    医薬品の服用が心配・・(4)生物学的製剤の副作用

    FDAが関節リウマチ・膠原病の最新治療薬TNFα阻害薬(生物学的製剤)の真菌感染リスクを警告表示を強化青少年の癌とTNFα阻害薬の関係も調査中

    米国食品医薬品局(FDA)は2008年9月4日、医療従事者に対して、腫瘍壊死因子α阻害薬(TNFα阻害薬)を使用している患者は、ヒストプラズマ症その他の侵襲性真菌感染症リスクが上昇した状態にあるが、実際に発症しても診断されにくく治療は遅れがちで死に至る可能性がある、と注意を喚起しました。

    FDAは同日、TNFα阻害薬4剤のメーカーに対し、薬剤の処方情報と患者向け医薬品ガイドのWarnings and Precaution部分に記載されている真菌感染に関する警告を強化するよう要求しました(メーカー各社は30日以内にラベル変更を申請するか、変更が必要ではない理由をFDAに対して明らかにしなければならない)。

    またFDAは、日和見感染症だけでなく、現在、青少年のリンパ腫やその他の癌とTNFα阻害薬との関係も調査中。米国では、レミケードが小児クローン病、エンブレルとヒューミラが特発性若年性関節炎(JIA)の治療に用いられている。

    米国内で市販されているTNFα阻害剤は、ヒューミラ、シムジア、エンブレル、レミケードの4剤(日本ではエンブレル、レミケードの二剤)。免疫系を抑制する作用を持ち、関節リウマチ、若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎、尋常性乾癬、強直性脊椎炎、クローン病などの治療に用いられています。

    ヒストプラズマ症として報告された症例は240例で、レミケード使用者が207例、エンブレルが17例、ヒューミラが16例だった。多くがヒストプラズマ 症の流行地域となっているオハイオ川とミシシッピ川の流域で発生していました(それらのうち少なくとも21例が、当初ヒストプラズマ症と診断されず、治療が遅れて12人が死亡しています。)。

    TNFα阻害薬が初めて米国で承認を得た1998年から2008年4月29日までの間に、JIA、クローン病、その他の疾患でTNFα阻害薬を使用している18歳以下の患者における癌の発症が約30例報告されています(いずれもTNFα阻害薬と他の免疫抑制薬(メトトレキサート、アザチオプリン、6- メルカプトプリンなど)を併用しています)。約半数はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫を発症、その他の癌としては、白血病、メラノーマ、 固形癌の症例が報告されています。小児の癌リスクに関するFDAの判断は、年内には明らかになる予定です。

    関節リウマチ・膠原病の治療では、これらの生物学的製剤が使用されることが増えてきています。学会でもほとんどの発表が「生物学的製剤が効果がある」というものですが、長期的な副作用も考慮に入れて、十分関節リウマチ・膠原病の患者さんに納得して頂いた上でしか使用してはいけません。



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