乳がん検査

乳がん検査一般を受けられる際のこころ構え

現場の医師たちは最悪の場合を想定して検査を進めていくのが基本です。ただし、医師の知能と経験により判断は変わってきます。

マンモグラフィー、乳房エコー、乳房MRIなどの画像上で乳がんが疑われる場合は、針生検査、マンモトーム生検を勧められることが多いと思います。針生検査とマンモトーム生検の違いは、検査する範囲がマンモトーム生検の方が広いことです。

癌は微小癌の段階では画像でも検出できませんので、理論的には乳房全体を生検しなければなりませんが、実務上腫瘤付近の生検で問題なければよしとするというルールにしているだけです。

ですからマンモトーム生検で問題なくても、癌が存在する場合はありますし、針生検で問題ない場合で癌が存在しない場合もあります。

したがって、人間の目に見えない、検査で検出できない微小な癌はランダムに私たちに起こっている(実際に私たちの人体には毎日6,000細胞の癌細胞が発生しています)ことを肝に銘じて、余計な不安を払拭し、生活習慣改善に励むことが必要でございます。

マンモグラフィー、乳房エコー、乳房MRIなどの画像上、乳がんが疑われても、生検で異常なければ一応は安心されてよいでしょう。癌がある場合でも、そのときに最善の治療を考えていくことになりますので、あまりご心配されないでください。

医療も含めてこの世の中に「絶対」という物差しは存在しませんので、リラックスして検査に臨まれてください。

乳がん検査1

乳房にできた“しこり”に対する検査の流れです。

  • 自己診断(触診)検査:触診で検知できるのは 乳がんの腫瘍半径1cmから。乳がんの腫瘍半径1cmになるのに9年かかる。
  • 視診検査:辺縁不正の腫瘤、皮膚の陥没、乳首周辺の湿疹様変化、腫瘤上の皮膚の赤み(炎症性乳がん)、腋下リンパ節の腫れ、このような所見があれば乳がんを強く疑います。
        
  • マンモグラフィー検査、エコー検査
    乳がんの腫瘍半径 1mmから描出可能。乳がんの腫瘍半径が1mmになるのに6年かかる。乳がんのレントゲン所見は、辺縁不正で微小石乳がんが発生した腺管または小葉の中にとどまっているもの灰化が認められる。
        
  • バイオプシー検査
      乳がんの確定診断です。
  • 滲出液や乳汁から細胞診を行うこともあります。

(参考)

クラス(class) 細胞診による判定分類
クラスI(1) 異型細胞のないもの。正常。癌ではない。
クラスII(2) 異型細胞は存在するが、悪性ではないもの。
クラスIII(3) 悪性と疑わしい細胞が存在するが、悪性と断定できない。
IIIa:少し疑わしい
IIIb:かなり疑わしい
クラスIV(4) 悪性細胞の可能性が強い。おそらくは癌。
クラスV(5) 確実に悪性であるもの。癌。

乳がん検査2

ステージ しこりの大きさ リンパ節転移 5年生存率 最終的な治癒率
(20年無再発生存率)
0期 乳がんが発生した腺管または小葉の中にとどまっているもの _ 90 98
I期 2cm以下 なし 90 75~80
II期.IIa

II期.IIb

2~5cm
2cm以下
5cm以上
2~5cm
なし
あり
なし
あり
89
89
85
85
65~70
65~70
50
50
III期
.IIIa
.IIIb

5cm以上
大きさにかかわらず、隣り合ったリンパ節転移あり


あり
あり

35
35

35~40
20
IV期 遠隔転移(骨、脳、肝臓、肺など) あり あり _ 15年生存2%

乳がん検査3

  • 乳がん検診・診断の実情について
  • マンモグラフィ併用検診での乳がん発見率は0.28%(2006年度)程度である。これは370人の検診で1人に乳がんが発見される割合で、視触診単独による乳がん発見率の約2倍です。
  • 検診受診率は全国平均で12.9%(2006年度)。
  • 50歳以上の乳がんはマンモグラフィ併用検診で約90%, 40歳以上の乳がんはマンモグラフィ併用検診で約70%発見されると報告されています。
  • 乳がんMRI検査について
  • 乳がんの拡がりの範囲をとらえることができる
  • 乳腺症などの良性のものとの区別は難しい
  • 拡散強調画像、MRSなどの撮影法を加えると乳がんの診断の特異性が高くなり、乳がんの治療効果の判定に応用できる。

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